インターン規制とか倫理憲章とか、本当にアホらしいと思う

少し前になってしまうが、こんな記事が日経新聞から出ていた。
「インターン青田買い防げ 文科省、17年ぶり指針改定」

正直、こうした行政の動きは本当にナンセンスで、大学生の現実に即してないんじゃないかなと思う。
突っ込みどころは色々あると思うのだが、多くの経営者の方が仰っている「ベンチャーが新卒一括採用になんぞ付き合ってられるか!」という意見には絶賛賛同しつつ、ちょっと違う視点からも意見を述べてみたい。

学業を疎かにする人がいるのは、学業がつまらないから

文科省指針や経団連が定める倫理憲章において一貫して言われてるのが、「学業への影響」という論点だったりするのだが、全然大学に行ってなかった私から言わせれば、インターンや就職活動というものが大学4年生以降でしか出来ない世の中が到来したとしても、大学生が学業を疎かにする理由はいくらでもある。アルバイトもあるし友達との遊びもあるしサークルや部活だってあるじゃん、と思う。

学業が疎かになっている人が仮に増えているとして(そもそも増えてるのかどうかも知らんが)、大抵の人は学業が面白いとか役に立つと思ったらそっちを優先してくれるはず。「優先するに足るものと思われていないから優先しない人がいる」というだけの話なのに、何をこんなにごちゃごちゃと言っているのか。

学業を疎かにする人が本当に増えているというのなら、大学は就職活動や部活、サークル活動を学生の可処分時間を奪い合う競合としてしっかり認識し、それ以上の価値を感じてもらえる面白い授業を展開する努力をすべきだ。

就活生をもっと大人として扱った方がいい

経団連の倫理憲章や文科省の指針に見え隠れするのが、「学生を助けなきゃ」「学業に集中させなきゃ」という文脈であるように思う。だが、就職活動をしている学生は大抵が20歳以上である(大学三年生は20〜21歳)。仮に未成年だったとしても、自分の頭で考えられる年齢だ。

そういう人間の生き方とか学業への姿勢とかについて、何で行政とか企業に云々言われないといけないのだろう。インターンするかしないかなんて、自分で選ぶものに他ならない。

もちろん一部のインターンシップには問題もあるかもしれない。

無給で何ヶ月も働かせるとか尋常じゃないことをやってる「学生は何にも知らないからこき使ってやろう!ぐへへ」的な会社も中にはあるだろう。だが、そういうのもひっくるめて「何処で働くか」を決めなくてはならないのが就職活動だし、法令違反・法律違反をしている会社をもっとしっかり取り締まりましょうというならいざ知らず、採用のためにインターンを行う会社を一緒くたし、自分たちが勝手に作ったルールを守るよう求めていくというのは余りにも傲慢だろう。

あくまでも基本としてあるべきは自由競争であり、企業の採用の在り方についてもそれは同様であるはずだ。学生にとっての選択肢についても、彼らが大人である以上、多ければ多いに越したことはない。

今後の日本の国力は、ユニークなバックボーンを持つ人の数で決まる

新卒一括採用という概念はどうやら日本特有らしい。
こういった慣習は、企業の採用プロセスや教育制度、給与制度を統一し、オペレーションに要するコストを押し下げるという意味ではメリットがあったのかもしれないが、現在においてはデメリットのほうがはるかに大きい。

少子化が進行する中、今後の就労人口は減っていくことが確定している。発展途上国が安価な労働力や経済成長を武器に力を増している以上、日本企業は30年前のようにオペレーション合理化による低コスト・高品質路線では勝負できない。

必要なのは、間違いなくイノベーションであり、イノベーションは同じような人生のバックボーンを持つチームからは生まれてきにくい。様々なバックボーンを持つ人たちがいるからこそ突飛なアイデアは生まれ得るのではないか、と思う。

一度就職した後に退職し世界一周してみたり、大学在学中からバリバリ働いてみたり、卒業後すぐに起業してみたり、発展途上国でボランティアしてみたりetc…といったようなユニークな経験をしてきた人が集まったチームからは当然ながら多様な意見が出てきやすいだろう。

にもかかわらず、新卒一括採用という慣習のためか日本では、「新卒で就職しない」ということについても社会的批判の目があるように思われる。こうした社会背景においては、保守的な方向へ国民の就労意識が流れてしまうことを回避しにくいだろう。

倫理憲章やインターン規制の問題がアホらしく、問題だと思うのは、何も当社を含むベンチャー企業にとって採用の選択肢が狭まるからではない。あくまでも指針でしかない以上、直近での採用業務に支障をきたすことはないからだ。問題なのは、上述したような新卒一括採用やインターン規制、倫理憲章の妥当性が、既成事実として社会に浸透してしまうことだと思う。

それこそ、採用活動を早期にやる会社は悪というように思ってしまう人も確実に出てき得る。それは中長期的目線に立った時、日本という国にとっての大きな損失になる。もっと多様な就労観が社会に根ざしていくためにも、行政や経団連による規制の強化には利はないと思う。

というわけで、当社は365日いつでも採用活動やってます

つらつらと思う所を書いたが、Volareはいつでも長期インターンシップを募集してるし、内定直結型のインターンシップにも力を入れている。倫理憲章やインターン規制などに縛られず、「一緒に働きたい」と思える人をぜひ採用したいし、そういう人と良い会社を作っていきたいと思っているからだ。

学生にとっての選考型インターンのメリットは、学生が企業について社風や文化、ビジョンなどソフトな部分や「働くリアル」をじっくりと知ることができる点にある。逆に就活生について、企業側からもじっくりと審査できるという点において企業側のメリットも大きい。

世界的に見て日本の競争力を保つためにも云々という議論などはおっさん達の世界の事情であり、多くの学生の方にはどうでもいいことだろう。シンプルに、「お上が何を言おうが、自分に合った企業を見つけたいからインターンしたいんだ」という学生の方は、ぜひ当社でのインターンも含め検討してみて欲しい。

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タグ: | カテゴリー: 社会, 組織