創業7年目によせて

2013年1月15日で、Volareは創業6年目を終えた。
大学在学中に起業してから、3年くらいは右も左もわからず右往左往していた。

4年目くらいから、ようやく自分なりに会社を経営していくスタイルのようなものが
確立されて、今に至っている。

まがりなりにも6年間経営をやってきたが、
過去を振り返ると数々の失敗をやらかしてきたなと思う。
しかも大抵の起業家がさくっとクリアしていくような簡単な失敗を結構やってきた。

こうした失敗を積み重ねた一方で、ある程度「正解」と言えるような決断や行動を
してきたから、なんだかんだそれなりの規模に会社が大きくなったのだと解釈している。
しかし思い返してみると「これは正解だった」等という決断の数はたかが知れているものだ。

私の過去6年間を振り返ると思い出されるのは、苦い思い出ばかりだ。

嬉しかった記憶というのは、正直数えるほどしか無い。
いや、きっともっと沢山あるのかもしれないが、苦い思い出に絡み付いた感情が強烈すぎて、
嬉しいとか楽しいとかそういう感情がなりを潜めてしまうのだ。

話が逸れるが、最近生きるとはどういう事か、とよく考える。

大抵の人間には夢がある。
私にもあるし、Volareで働くメンバーにもこのブログを読んでいる読者にも、
きっと自分なりの夢があるのだろう。

小さい頃に学校の先生が「人は夢のために生きる」とか何とか言っていた。
確かに真理なのかもしれないが、私には少し違和感がある。

だって夢はとても遠い所にあって、
少なくても10年以上の年月をかけなければ届きそうにない。

だからそんなに先の事ばかりを生きる意味にするよりも、
その夢に通じる一つ一つの道程を、より自らの血や肉に近い所にある、
足を踏み出すその先を、一歩先の未来を、自分が生きる意味の一つとして、
心の中に取り入れておきたいのだ。

未来は過去とは不可分だ。
多くの人にとって未来は過去の延長にある。

ただ、ありきたりだが、未来は変える事が出来る、と思う。
過去の延長にある予定調和の未来を実現する事を言っているのではない。

予定調和の未来を打ち破り、これまでの自分の過去と断絶された
未来を手に入れる事が「未来を変える」という事だ。

「未来を変える」事で、夢は近づいてくる。
だとすれば、生きる意味とは予定調和の未来を打ち破らんとするその姿にあるのではないか。

誰だって大言壮語は吐けるのだ。
人が人の生き様に感動するのは、それはその人の夢自体に感動する訳ではない。
まさにその人の、未来への在りように心動かされるのだと思う。

そして、未来を変えるためにかけがえのないスパイスが、過去の苦い思い出だ。
誰にだって1つや2つ位、思い返すのが嫌になる位つらい過去がなきゃおかしい。
そういう過去の存在が、予定調和を打ち破らんとする自分に教訓や覚悟、希望をもたらしてくれる。

だから過去から逃避してはいけない。
苦い過去を見つめる事は、自分にとってとても大事な事なのだ。

創業7年目はVolareにとって、
これまで以上に変化のある年になると思う。

精一杯に生きなくてはならない。
予定調和の未来に付き合っている暇はない。

過去の失敗も何もかも、予定調和の未来を打ち破るための糧にして、
創業7年目を私たちは迎える。

※追記
Applivというサービスを2012年8月に始めた。
リリース後順調にユーザー数を拡大しているので、
近々このブログでも状況を報告できるよう引き続き頑張る事とする。

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怒られるまでやってもいいんじゃないの

新卒(&中退)メンバーが奮闘している。
S藤はさっそく社内向けのシステムを1つ仕上げたし、E田は1週間で初受注を上げ新人のギネス記録を叩き出すかもしれない。

一方で、まだ思うように結果を出せないメンバーもいる。
知識が身に付いてなかったり、電話対応が上手くこなせなかったり。颯爽と働くビジネスパーソンになる事を想像していた人にとって、理想と現実の乖離は結構苦しいものだったりする。もちろん弊社の新人だけではなく、世の中には何万人もの想像していた自分との乖離に苦しむ新人がいるのだろう。

そういう状態に陥った時、最も忌むべき行動は「気にしすぎること」だと私は思う。
「駄目なヤツ」と思われたり怒られるのを避けようと、無難な行動ばかり取るようになるとロクな事がない。
一生理想の自分になる事なんて出来なくなってしまうのだ。

3年ほど前にVolareに1人の新人が入って来た。D居という男だ。彼は私の大学時代の先輩だが、別に全然仲は良くなかった。大学を中退してバイトばかりしていたのだが、自分よりもデキない社員がボーナスをもらえている事に憤りを感じていたD居は、どこかの正社員になればボーナスがもらえると考えてVolareに入社したらしい。

当時営業部を統轄していたD園はD居に「怒られるまでやってもいいんじゃないの」と言い放ち、彼はその後の数ヶ月で数十回怒られた。でも入社の1年半後、彼はSEO事業を統括する事業部長になっていた。

結局何回怒られようが注意されようが「大胆な行動で結果を出したヤツ」が評価されるのがビジネスの世界なのだと私は思う。「うちの会社はそうじゃない。ミスしたら減点されて出世出来なくなっちゃう」という人は沢山いると思うが、自分の胸に手を当てて本当にその会社で働いていきたいのか自らに問う事をお勧めする。怒られようがシバかれようが、最終的に一番結果を出せる人間に、理想の自分になればいいのだ。そう考えるとずいぶん気持ちが楽になるではないか。

逆に考えれば、「怒られる」「注意される」という事は、それ自体が自分の成長への肥やしだ。自分を育ててくれる出来事から逃げ惑い、コソコソと生きて行く事は私からするととてもくだらない事に見える。

苦い思いもストレスも自らの血肉として、理想の自分になるために大胆に突っ走るのがカッコいい。

P.S.
ちなみにVolareの給与体系には、一般的なボーナスは存在しない事をここに付記しておく。
あるのはこういう制度だけ。

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会社の歯車に関する小咄

Volareでは毎月「全社経営会議」という会が催される。全メンバーが一同に会し、経営陣が現在の経営状況の報告や今後の方針などを発表する場だ。メンバー全員で会社の戦略について考え質問や提案をする時間を設ける事で会社への参加意識を強く持ってもらう事を目的としている。

この「全社経営会議」では、毎回「○月に入社した人プレゼン」というコンテンツがある。例えば今月で言えば、過去4月に入社したメンバーが全員の前でプレゼンをするわけだ。内容は基本的にメンバーが自由に決めていいのだが、今月は人数が多かった事もあり「1分間で終わる深イイ話」という事になった。その中で、2011年度の新卒で入社したY松というヤツがすごく良い話をしていたので書き留めておきたい。

【「会社の歯車」という言葉は、よくネガティブな表現として使われるが、歯車が欠けたら機械は動きません。本当に終わってるのは1個くらいなくなっても困らない「ネジ」であって、僕はそんな役回りにはなりたくない。僕は大学院を中退してVolareに入社しました。1年間プログラマをやってきて、今ではVolareにとって欠かすことの出来ない歯車になれたと考えています。今年はそういう欠かせない歯車を動かすモーターのような仕事をしていきたいと考えています。】

概ね上記のような事をヤツは語ったと記憶している。末恐ろしいヤツである。

私は小さい頃に目覚まし時計を分解して構造を確かめたりした事があったが、大抵の機械はネジをいくつか抜いた所で直ちに挙動を止める事は無い。また、ネジが溝の数をいくら増やした所で機械のパフォーマンスは変わらない。しかし歯車の凹凸の数が変われば他の歯車の回転数も上がるし組織全体のパフォーマンスを上げる事が出来る。また、モーターの動力があがれば組織のパフォーマンスが上がる事は言うに及ばない。

起業してからというもの、「優秀とはどういうことか」を考える事がよくある。私は、「与えられた役割の中で期待以上の結果を出せる人」かつ「自分のいる環境に主体的に関わり良くしていこうという意思のある人」こそが「優秀」なのだと考えている。

特別なスキルを得ようと足掻くのも多いに結構だが、まず組織にとって最高の歯車になる事を目指してみても良いんじゃないか。そうすれば自ずとモーターとか電池としての仕事が降ってくると思うのだ。

先述したプレゼンをしたY松は新卒2年目にして、今年SEO部門のエンジニアリーダーとして技術の根幹を作り上げていく事になる。最高の歯車の地位をたったの1年で獲得した男が、どんな性能のモーターになってくれるのか。今からヤツの成長が楽しみだ。

↓プレゼンするY松。ドヤッ!!

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manaveeについて

manaveeというサイトがある。

ざっくばらんに言うと、「全国の大学生が教える勉強動画を見ながら受験勉強できる」というサービスだ。
しかもturntableのように仮想現実っぽい仕組みも採用していてエンタメ性もある。極めてニクいコンセプトだ。

※参考記事:だれでも無料動画で受験勉強できる『manavee』が凄すぎる

ところでこのサービスを初めて知った時、私は自分が起業した当初のことを思い出さずにいられなかった。
Volareは東大生講師が教える受験動画配信サービスで大敗北を喫した会社なのだ。

起業した当初、ビジネスの「ビ」の字もわからなかった私は、東大生という自分の強みを活かそうと家庭教師事業を始めた訳だが、すぐに「この事業を続けていても、世界を変えるような会社は作れない」という事に気がついた。

そこで当時21歳だった私が考えたのは、東大生の授業を動画で配信する「WEB予備校」のようなサービスを作ろう、というものだった。これなら教育事業で蓄積している東大生の講師データベースを持っているという強みも活かせる。

しかも大学受験において、地方の学生がどれだけ割を食っているかという事を私は知っていた。東京と違い、地方には塾がない地域もある。仮にあったとしても、受験に関して保有するノウハウは絶対的に乏しい事が多い。

そんな中でも、「赤本だけとりあえずやっときました」みたいな受験対策だけで、サクっと東大に合格するヤツは沢山いたので、もし地方にもっと受験勉強のためのインフラや情報が整っていたら、もっと多くの学生が東大や自分の望む進路に進めるんじゃないか。そう思っていた。

そして企画から3ヶ月後、私たちは「WEB予備校 楽スタ」というサービスをリリースした。
「月額8,300円で東大生が教える授業動画を見放題!テキストもダウンロードし放題!」というサービスだ。

当時の動画サイトとしてはUSENが運営するGYAOが有名だった事から、UI面でもGYAOを参考にしたデザインのサイトにした。※今色々な方面で活躍されている方が動画に出演されているので、出演者の顔は黒くしておきました。


「この楽スタによって受験教育の地域間格差を是正できる」と私たちは信じていた。
しかし結果として大失敗に終わった。何故か。

まだ未開拓なWEB×ITを目指す起業家の方が少しでも参考にしてくれることを祈りつつ、当時の事を思い出しながら、いくつか失敗談を書いてみようと思う。

①消費者向けサービスで、開発の外注化をしたこと

私たちの中にはエンジニアやデザイナーはいなかったので、全てのサービス開発を外注した。

教育に限った事ではないが、toCのサービス開発ではユーザーからの反応を確認してからサイトを改善するまでの速度が成功と失敗を分ける分水嶺であることは間違いない。私が知る限りシステムもデザインも外注して成功したtoCサービスは存在しない。

起業家がプログラマーやデザイナーである必要はないが、ボードメンバーには腕のいいプログラマーとデザイナーは必須。彼らを集められないとスタートすら切れないと考えておいた方が良い。また、起業家が開発もデザインも出来ないのならば高いゼネラリストとしての能力が問われる事は言うまでもない。

②コンテンツを自前で制作した事

予備校事業において、絶対に外してはならないポイントは「授業の質」だ。それはWEB上の予備校だろうと変わらない。

私たちは「東大生が教える」という事にフォーカスしすぎて、「東大生の授業の質」については高める事が出来なかった。また自前でコンテンツを制作する事にこだわる余り、授業1つ1つにかかる予算が結構な金額になってしまった。もし仮に、もう一度WEB予備校事業をやるなら「善意の一般ユーザーが教える形式」にするか教育コンテンツを保有する「予備校と提携」するかしかないと考えていたので、この点manaveeはよく考えられていると思う。

③収益化を急ぎ過ぎたこと

開発とデザインを外注し、授業コンテンツの制作にもお金をかけたため、一刻も早く資金を回収したかった。だから無料コンテンツの数を限定して有料コンテンツを増やし、サイトにアクセスを集めるためにさらに広告投資をしてしまった。

結果として、サイトにユーザーは来てくれるもの有料会員に転換しないというお決まりのパターンに陥ってしまった。楽スタのモデルでやるなら、教科を限定する事で必要なコンテンツ数を絞り最高のコンテンツを作って授業品質で勝負しなくてはならなかった。

④1人で授業を受けるのはつまらない

楽スタの授業の形式は、「動画を選んでテキストを読みながら、講師の授業を見る」というものだった。塾や予備校、学校と違い、楽スタには「友達・仲間」という概念が欠落していた。つらい受験戦争を続ける上で、こうした存在はものすごい大きな意味を持つのだと思う。

一人で授業を受けるより、皆で受けた方が楽しい。そういうことだ。

manaveeは全部クリアしている

当時を思い出しつつ楽スタの失敗要因を色々書いてみたが、manaveeは上記の課題を全てクリアしているように感じる。

サイトを見た限り自作のサイトなのは明らかだし、コンテンツについても大学生から投稿してもらう事で、質が高いものを安価に調達している。収益には現状こだわりがないようだ。そして何より友達と授業を受けているようなUIは素晴らしいと思う。

ここまで書いて思う事は、ぜひこの事業をやりきって欲しいという事だ。私たちは諦めてしまった。教育事業から撤退し、現在はSEO、今年には別の領域でのtoCサービスを開始しようとしている。勝負を諦めたわけではないが、少なくても勝負のテーブルは変えてしまった。楽スタも、やりきれば成功したかもしれない。しかし成功率を考えれば、撤退が正しい判断だったと考えている。

しかしmanaveeは違う。時間と労力をかけて大きくしていけば必ず日本の教育界に大きな貢献を出来るサービスになる。サイトを運営しているのは東京大学の3年生ということだが、ぜひとも事業化を目指して取り組んで欲しい。収益をどこで稼ぎ出すかという課題は勿論あるだろう。だが、WEB予備校の構想実現に失敗した起業家として、彼らの成功を心から応援したい。

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企業文化の話

「企業文化」という言葉がある。

「企業文化なんて意味ないっしょ」という人がいるが、私はとても大事なモノだと思っている。
企業文化は組織全体を満たす気風のようなものだが、Volareでは創業時から私を中心にその定着に取り組んで来た。

「こういうメンバーが集まる会社にしよう」という想いが企業文化となり仕事の流儀になっていく。企業文化が定着すると、共感してくれるメンバーが集い出す。すると良い事業が生まれる。よって利益が出せる。単純な話である。

Volareが設定している企業文化は、「フェア、フラット、多様性」の3つだ。

「フェア、フラット」とは、役職者も新米も平等な立場から意見を戦わせる事ができ、社内から上がる意見やメンバーの活躍を出来うる限り公正に評価するということ。「多様性」とは、様々なバックボーン・職能を持ったメンバーを集め、またそうしたメンバーが互いの個性に刺激を与えあうということだ。

この企業文化に則り、Volareには遠慮をする人が少ない。会議をしていて上司の意見に反対意見が飛び出すことなんて毎回起きているし、上司は反対意見の方が優れていればそちらを採用する。私も例外ではなく、私が自信満々に繰り出したアイデアに、「微妙ですね」という冷ややかな反応が返ってくる事もしょっちゅうだ。超高学歴な人間がいる一方で、ホームレス経験者が3人もいるし、国籍の違うメンツも増えてきた。今後も国籍は問わず採用を続けていく。

こうした独自の企業文化を愛するメンバーが互いに遠慮する事なく意見をぶつけ合う空間は実に刺激的で、そういう会議に参加する事は私にとって最高に楽しい時間になっている。保身に走るようなヤツじゃなく、自分のレベルを高めたい人間なら誰でも楽しいと感じるんじゃなかろうか。

ただ、こうした企業文化も永遠に続く事を保証されている訳ではない。例えば新しいメンバーが増えるに伴い、徐々に文化が薄くなっていく事がある。メンバー一人一人が企業文化を言葉に出せないと、「なんとなく」のイメージしか伝わらないのだ。それではいけないと思う。

もうすぐ3月も終わる。

facebookでは、私の後輩達が大学の卒業式の写真をアップしている。ああ、卒業からもう3年も経ったんだなと懐かしい気持ちになる。

3月が卒業の季節なら、4月は新たな人生を踏み出す季節だ。Volareにも新卒メンバー6名と中途採用メンバー4名が加わり、新体制での4月を迎える事になる。中途メンバーのうち2人は、別に薦めてもいないのに大学を中退してくるというスタンドプレーを行った強者だ。

こういう場面で新たなメンバーに企業文化を理解してもらう事はとても大事で、それが出来ないといつまでたっても新たな採用が出来ない。1人1人としっかりコミュニケーションを取り、Volareの誇るべき企業文化を心で理解してもらおうと思う。

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