会社の歯車に関する小咄

Volareでは毎月「全社経営会議」という会が催される。全メンバーが一同に会し、経営陣が現在の経営状況の報告や今後の方針などを発表する場だ。メンバー全員で会社の戦略について考え質問や提案をする時間を設ける事で会社への参加意識を強く持ってもらう事を目的としている。

この「全社経営会議」では、毎回「○月に入社した人プレゼン」というコンテンツがある。例えば今月で言えば、過去4月に入社したメンバーが全員の前でプレゼンをするわけだ。内容は基本的にメンバーが自由に決めていいのだが、今月は人数が多かった事もあり「1分間で終わる深イイ話」という事になった。その中で、2011年度の新卒で入社したY松というヤツがすごく良い話をしていたので書き留めておきたい。

【「会社の歯車」という言葉は、よくネガティブな表現として使われるが、歯車が欠けたら機械は動きません。本当に終わってるのは1個くらいなくなっても困らない「ネジ」であって、僕はそんな役回りにはなりたくない。僕は大学院を中退してVolareに入社しました。1年間プログラマをやってきて、今ではVolareにとって欠かすことの出来ない歯車になれたと考えています。今年はそういう欠かせない歯車を動かすモーターのような仕事をしていきたいと考えています。】

概ね上記のような事をヤツは語ったと記憶している。末恐ろしいヤツである。

私は小さい頃に目覚まし時計を分解して構造を確かめたりした事があったが、大抵の機械はネジをいくつか抜いた所で直ちに挙動を止める事は無い。また、ネジが溝の数をいくら増やした所で機械のパフォーマンスは変わらない。しかし歯車の凹凸の数が変われば他の歯車の回転数も上がるし組織全体のパフォーマンスを上げる事が出来る。また、モーターの動力があがれば組織のパフォーマンスが上がる事は言うに及ばない。

起業してからというもの、「優秀とはどういうことか」を考える事がよくある。私は、「与えられた役割の中で期待以上の結果を出せる人」かつ「自分のいる環境に主体的に関わり良くしていこうという意思のある人」こそが「優秀」なのだと考えている。

特別なスキルを得ようと足掻くのも多いに結構だが、まず組織にとって最高の歯車になる事を目指してみても良いんじゃないか。そうすれば自ずとモーターとか電池としての仕事が降ってくると思うのだ。

先述したプレゼンをしたY松は新卒2年目にして、今年SEO部門のエンジニアリーダーとして技術の根幹を作り上げていく事になる。最高の歯車の地位をたったの1年で獲得した男が、どんな性能のモーターになってくれるのか。今からヤツの成長が楽しみだ。

↓プレゼンするY松。ドヤッ!!

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脱線

Volareの会議はよく脱線する。

別に狙って脱線している訳ではない。アジェンダもしっかり作るしそれに沿って話をしていくのだが、誰かが「そもそも論」を投げかけると皆がそれに食いついてアジェンダからどんどん話が逸れてしまう。

この間など、新規事業の開発会議でボタンをクリックした時のJava Scriptの動き方について話していたら、「位置はそこでは相応しくない」「そのボタンは本当にいるのか」という話に発展し、結局そのボタンは日の目を見ないまま葬られてしまった。

しかし、それで良いと思っている。

就活のグループディスカッションや大学生が催すビジネスプランコンテストの現場では、「議題から逸れない事」を説く。ファシリテーターが会議を主導して、それに基づいて議論が進行する。時間通りに会議が終わり関係者の負担にならないコツだから、という事だろう。

しかし「30分で結論まで詰めなければならない」場合ならともかく、全ての議題において、馬鹿の一つ覚えみたいに硬直的なルールを当てはめるのはいかがなものか。

そのまま突っ走ってもしょうがないのなら、今まで走ってきた道を皆で振り返ってみるのもいい。
「あの時にこういう道もあった」という発見があり、そこまで戻ってもう一度走り直す良い機会になる。

我々から見れば一つのボタンでしかないものが、ユーザーにとっては複雑でとっつきにくい機能に見える事もある。そのボタンが原因でサイトを使ってくれないユーザーを生むかもしれない。そんなもの、無理矢理サイトに搭載するよりもいっそのこと無くしてしまった方がいいではないか。
無くす事が決まっただけで、先の会議は有意義だったと思う。もちろん毎回これでは話が進まなくなってしまうが。

経営に携わった事がある人なら誰しも経験がある事だと思うが、経営者には眠れない夜というものがある。
A案とB案とC案のどれがいいかを自問自答し、誰にも相談できず悩んで考え抜く。
結果として導き出された結論がD案だったなんてのはよくある事だ。

ベストなモノを作り出すには回り道がつきものだ。
会議にしろ何にしろ、字句通りに受け取って手法論ばかり振りかざす輩が多いが、
定石だけを打って勝利した棋士はいない。

通り一辺倒な事ばかりほざく常識人は無視して、自分の信じる道へと脱線してみるのも悪くない。

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