カルモ発表と新年の抱負

もはや今更感があるが、2018年が始まった。
2017年、一度も更新しなかったこのブログだが、久々に更新をすることとする。

「マイカー賃貸カルモ」を発表

本日ナイルの新規事業となる「マイカー賃貸カルモ」の発表を行った。現在はティザーサイトとして事前登録の受付を開始したに留まるが、近日中に正式なリリースを行う予定となっている。事前登録に参加するとリリース後の契約時に30名先着で5万円のキャッシュバックを受けられる。ご興味ある方はぜひ登録してみてほしい。

カルモは、ディーラー店舗などに赴かなくてもリーズナブルな月額料金でマイカーに乗ることができるサービスとなっている。契約期間はライフスタイルに合わせ1年から9年で選ぶことができ、車はお客様の家まで納車される。また、車を手に入れた後のカーライフまでをサポートする顧客向けサービスを順次開発していく予定である。

このサービスは私が主導してプランニングを行なったのだが、思いついたきっかけは父の存在であった。

1年ほど前のある日、父と会った際、父はヤフオクで車を買おうとしていたのである。

当時の私には、「車とは現車を見て試乗してから買うものである」という先入観があった。また、父はLINEなどを使い始めたばかりのいわゆるITリテラシーが決して高くない人物であるため、そのような人がヤフオクで車を見つけ、業者と交渉をしているという事実にひどく驚いたものである。

その後、様々な事業者と話をしていくうちに、「ネットで車は売れない」という先入観はもはや過去のものとなりつつあるのではないかという仮説に思い至った。

以前に比べ、インターネット上には情報が溢れている。車についての情報ももはや網羅されていると言って差し支えない。そのような状況では店舗や営業マンの存在意義は薄れつつあるのではなかろうか。一括して情報が掲載されており、申し込みまでできる。しかもリーズナブル。そのような合理的な形を人々は求めていると思う。

上記のような観点から、カルモでは当面「面倒なディーラー巡りをしなくてもリーズナブルに車を手に入れられること」「乗っているクルマについての困りごとをインターネットで便利に解決できること」を実現させていきたいと考えている。

自動車産業を主役として社会に起こる変化

自動車産業には今後十数年の間に多くの革命的な変化が起きていく。

ハイブリッド、EVを始めとしたエコカーが主流になること、Uberを始めとした「カーオンデマンド」の世界観の浸透、インターネットに車がつながるコネクテッドカーのコモディティ化、そして自動運転である。

それらは自動車産業の中だけで完結する変化ではなく、公共交通や都市のありかた、環境への配慮、さらに言うならば「人やモノの移動」という壮大なテーマに関わる大きな変化となるであろう。端的に言うと、人々の時間は今以上に「増加」し、都市という概念はさらに広がると考えられる。「移動」に必要となる時間的、意識的、労力的コストが大幅に低下するからである。

そのような未来が確定的である中でも、自動車産業におけるヒエラルキーの頂点はメーカーをはじめとした「ものづくり」の世界の住人たちである。少なくても当面の間は。だが、既にヒエラルキーの構造は大きく変化し始めている。こうした変化は等比級数的な拡がりを見せ、数年後には社会の様相はかなり変化していると思う。

大きな機会を捉えることを可能にするのは、いつでも急成長する市場ないし急変化する市場においてである。

自動車産業は、巨大産業であるがゆえにベンチャー企業が参入しづらい市場である。一方で、今後急激に変化する市場であるというのも間違いない事実だ。業界の構造を学び様々な事業者との連携を重ねていくことで、大きな影響力がある事業作りは決して不可能ではないと私は考える。

上述した4つの大きな変化の中で、自動車領域におけるシェアリングエコノミーの本格化に先立ち、「所有」の概念が変わってくる。カルモでは、「所有」と「共有」の中間的な立ち位置にある「月定額制の賃貸」という形式を取り入れつつも、これから十数年の大きな時代のうねりを捉えるための仕掛けをしていこうと考えている。

日本という世界に誇るモビリティ先進国において、IT企業というユニークな立場から産業に関わっていけることは刺激的だ。未来を楽しみにして取り組んでいきたい。これに賛同し志を共にする方がいるのであれば、ぜひナイルの門を叩いて頂きたい。

新年の抱負

さてカルモの話はここまでにして、ナイルの経営者として新年の抱負についても述べておきたい。

今年のテーマは、「現在の延長から脱却する」である。

これまで11年間にわたり企業経営をしてきた(実は本日が創業記念日である)が、はっきりしていることがある。それは世界、ないし日本においてすらも私よりも遥かに優れた経営者、というか起業家達がいる。つまり、自分のこれまでの経営の仕方は必ずしもベストプラクティスではないということである。

AlphaGo同士の対局において、プロ棋士でも意図が不可解な打ち筋が多くみられたという話を以前聞いた。もし仮にこの世に起業家の働きをするスゴイAIがあったとして、私と同じ立場から事業を始めたとしたら、おそらく今の私では思いもつかないような打ち手を大胆に打つだろう。

だから、これまで自分が「何となく気持ちが悪いからやらなかったこと」「何となく怖いからやらなかったこと」について、やる上での合理的な理由が見出せるなら、積極的に取り組んでいくことにしようと思う。もちろん人間の想像力には限界があるのだが。

こうした前提の上で、2018年は下記の3つを抱負としたい。

1・ 事業の多角化を推進すべく、「自分が考える」ではなく「人に考えてもらう」経営者となる

ナイルでは上述したカルモ以外に、2つの既存事業を展開しており、それぞれに事業責任者が数字にコミットしている。また、事業以外の組織開発やコーポレートについても、ボードメンバーがそれぞれの役割を持ち働いている。

こうした事業面および組織面について、以前は私自身も戦略策定に加わっていくことが多かった。だが、複数の事業を大きくスケールさせつつ組織を強化していくためには、このやり方では正直見合っていないと感じることが多くなってきた。

そこで、2017年からやり方を変えてきてはいたのだが、2018年はさらに一歩踏み込み、ひたすらにボードメンバーの良きメンターとして事業戦略や彼らの能力、視座が大きくストレッチするための刺激作りを積極的に行っていこうと思う。自分が脳みそになるのではなくて、彼らの脳みそに適切な刺激を与えられるポジションになるイメージである。

2・2017年に大きく芽吹いた、ICOを中心とする非中央集権の枠組みを考察する

2017年から仮想通貨界隈はものすごい盛り上がりを見せている。

自分の周りでも仮想通貨投資で大きく儲けた人が量産されている状況となっており、社会的には、いわゆる「バブル期」を知らない若い世代が「仮想通貨バブル」を満喫するお祭り状態になっているように思う。

だが、多くの仮想通貨投資は「投機」としか言えない様相を呈している。一部の「分かっている人」よりも遥かに多くの「分からないけど儲かるから投資している人」が存在し、そしてこれからも急増していくはずだ。

それは消して悪いことばかりではなく、仮想通貨という領域にマネーが流れ込むことで、より「実用」の伴った付加価値が生まれやすくなるという点において喜ばしい。だが、一方で「実用の伴わないモノ」については価値が膨れ上がる根拠は本来乏しいというのもまた事実であろう。そうしたものは、どこかのタイミングで淘汰されていかざるを得ないのではなかろうか。

「投機はよくない」と言うつもりはない。若い世代が既存の中央集権的なマネーの枠組の外で(といっても多大な制約を受けつつではあるが)経済的利益を享受できるというのは良いことだと個人的には思う。だが、起業家の役割とは「実用」、すなわちリアルな社会における付加価値を作る部分ないしその礎となるモノに向くべきであろう。

この領域については私はほぼ門外漢であり、不勉強な部分が多々あると自己認識している。よって、今年はICOを始めとした非中央集権の枠組みについて学習し考察し少なくとも自分の考えを正々堂々と述べられる状態を目指していくこととしたい。

技術的な観点はもちろんだが、どちらかと言えばビジネスにおいてどのような応用範囲があるのかといった観点を考え、フィットするのであれば自社のビジネスにも応用して「実用的な価値」を作りたいものである。

3・オンライン、オフラインを問わずアウトプットの絶対量を増やす

2017年はアウトプットの量がかなり減ってしまったと反省している。Facebookではそれなりに投稿を行っていたのだが、全然足りていないと感じている。

そこで、2018年はオンライン・オフライン問わず多くの発信をしていきたい。また、発信の内容についても、これまでは発信してこなかったような分野においても考えを述べていくこととしたい。

特に、カルモという事業に取り組む以上、特に「自動車産業」「移動革命による社会変容」については自らのメインテーマとして重視していこうと考えている。実はすでに自動車業界のセッションにてパネル登壇のお話もいただいている。こうした機会についても積極的にお受けしていきたいと考えている。

おわりに

いずれにせよ、今年は面白い年になりそうである。

ナイルに関して言えば、昨年から仕込んできた新規事業がリリースされ、その感触を掴む年になると考えている。実はカルモ以外にも全く別の領域でリリースを予定しているメディアもあるのでそちらも今から楽しみだ。

一方、世の中に目を向けると、多くの市場において話題と変化に事欠かない。2017年はスマートフォンの登場以来の大きなパラダイム変容がいくつかの領域において起こり、さらなる変化に向けた土壌が整った一年であったように思う。

2018年はそうした土壌に芽が出て花が咲き、さらに加速度的な変化が生まれる一年になるだろう。一つの企業、一人の個人にできることに限界はあれど、この最高にエキサイティングな時代に生まれたからには挑戦を楽しんでいきたい。

本年度もどうぞよろしくお願いいたします。

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タグ: | カテゴリー: 社会, 組織, 経営, 雑記